マーケティングリサーチ
グループインタビューの危険な罠!
グループインタビューって本当によく耳にしますよね?
よく、略して「グルイン」なんて言い方をします。
本当に「猫も杓子」もグルイン・グルイン・・・って感じです。
今日、この瞬間も、日本のどこかでグルインが行われているんです。
これは、どういうやり方か?って言うと、ある会場に「6~8人」くらいの「お客さん」とか「消費者」に来て頂いて、約2時間前後に亘って、司会者の進行のもと、ワイワイガヤガヤ、あるテーマに関して語っていただく・・と言うやりかたです。
いわゆる「商品開発」とか「広告の評価」「売り方の発見」みたいなテーマでは、本当によく使われています。
で、初めて会った人達が、こんにちわ・・・って挨拶をして、司会者が自己紹介をして、お客さんにも自己紹介をさせて、司会者がテーマを説明して・・・。
まず○○さん、いかがですか?ってな具合で進行する。
で、隣の部屋かなんかで、スポンサーの人達も「隠しカメラ」でその様子を見ていたりするわけです。
で、ここであなたに質問です。
こんな状況で、初めて会った人に囲まれて、冷たい会議室みたいなとこで、隠しカメラみたいなのがあるところで、あなた、本音って語れるモノでしょうか?
少なくとも私には絶対に出来ません。
で、また悪いことに、こういう時って、出席者の中に、結構ガンガン自分の主張をする人がいたりするんですね。
「私はこう思うんですの・・・地球環境をいつも考えてますので・・・エコロジーの視点を持っていない会社の商品は絶対に買わないんです!」とか・・・って。
スゴイ正論をぶつ!
そうすると、その場の空気が突然、エコロジーは大事だ!大事だ!大事だ!ってなっちゃうんです。
で、出席者のみんなも、「そうなんですよね!エコロジー大事!エコロジー大事!」って言う風になびいて行っちゃうんです。
あと「安全」「安心」みたいな話も良くでますね。
「私は安心・安全な商品しか選びませんのよ・・・家族にも絶対安心・安全な商品しか食べさせてませんの、オホホ」みたいな。
で、その場に立ち会っていたスポンサーも「やっぱエコロジーなんだよな!」「安心・安全」なんだろうな?って思いこんじゃう・・・。
でも、これっておかしくないですか?
私は思います。
エコロジーも、安心・安全も確かに大切な事は理解できるけど、決してそれだけじゃないよな・・・って思ってる人が必ずいるって。
実際に、私が数限りないグルインの司会進行をやってきた経験の中で、かつて、こんなシーンに遭遇した事がありました。
グルイン終わって、みんなが帰った後、お部屋の後かたづけをしていると、フラリと、戻って来た奥様がいたんですね。
「先ほどはどうも、ちょっといいですか?」って。
で、何の話か?って言うと、グルインの最中、本当の気持ちを全然しゃべる事が出来なかったんで、改めて聞いて欲しい・・・って。
で、エコロジーとか「安心・安全」とは全然違う観点からの話をしてくれる。
例えば、食品がテーマだったら「いかに、簡単に食べられるか・・・」とか・・・。
自分は仕事を持ってるから「簡単」な、手間のかからない商品じゃないと絶対困るし、自分がいない時でも家族が簡単に調理して食べられるものでないと困る・・・って。
安心、安全は自分にとって、その次に来るモノだし、だって、今の時代、そんなの当然の前提条件だし、ましてや、そんなに「危ない商品なんて売って無いですよね?」って。
だから、そんなに「安心・安全」って叫ぶの・・・おかしいんじゃないのか?って。
で、これが、すごくもっともで、面白いし、「だよな~!」って納得いく事ばかり。
でも、もう遅いんですね。
同席していたスポンサーのアタマの中は「エコロジー」がうずまいちゃってるし、「安心・安全」と言うキーワードをお土産にグルイン会場を後にしてる。
グルインの内容とか、そこからの提案は「エコロジー視点」「安心・安全視点」で行かなきゃ・・・って言う流れになっちゃってる。
今更、「グルインの場では出ませんでしたが、こんな大事な話を番外で聞けたので、そっちに方向転換しま~~す!」なんて事は絶対に出来ないんですね。
グルインが無駄だった・・・なんて事には、今更出来ない。
そうやって、もの凄く大事な「主婦の本音」がひとつ「闇」に葬られて行く訳です。
たった2時間の時間で、一人あたり単純平均でせいぜい15分から20分、初めての人に囲まれて「本音」なんて語れるわけがないんですね。
だから、グルインは駄目なんです。
今、お話しした通りに、本音って、結構「話の済んだ後」に出てきたり、みんなの話が「起爆剤」とか「触媒」になって出てくる事が多いんですね。
ですから、キキダス・マーケティングでは、グルインはやりません。
先ずはこの事をしっかり憶えておいてくださいね。
グルイン好きは、失敗街道まっしぐら!だって。