マーケティングインタビュー

2.なんの変哲もないサラダはなぜ、ヒット商品になれたのか?時間をあやつるマジック!

「明日の朝、食べるんです・・・コレ・・・。」

お酒を飲んで帰る途中、駅のそばにある「コンビニエンスストア」に「ちょっと待っててくださいね!」って言う言葉を残して、連れの女の子は消えて行きました。
待つこと2・3分、彼女の手には「サンドイッチ」「ミネラルウォーター」「サラダ」の入ったコンビニ袋が提げられていました。

夜食なの?
そう尋ねた私に返って来たコトバが、冒頭の「明日の朝、食べるんです・・・コレ」って言う言葉でした。
へ~、そうなんだ、明日の朝の食事を、この子はこんな深夜に買ってるんだ・・・。

翌日、私は、あるコンビニエンスの店長を訪ねました。
そして、夜に入荷する配達便(業界ではこれを3便って言うんですが)でサラダを沢山入荷して貰うお願いをしました。
そして入荷の当日、普段より沢山仕入れたサラダを、深夜に近い時間帯に、沢山売場に置きました・・・。
で、売れた!売れちゃいました・・・。
仕掛けた私自身が、もうビックリ!

女の子達は、沢山のサラダの中からじっくり選んで、好きなものを買っていきました。
それまで、その店のサラダコーナーには、深夜ほとんど商品が無かった。
つまり、お客さんは仕方なく「置いてあるモノ」を買ってただけだったんです。
そこにど~~んと商品が積まれた。
もう選び放題・・・・。

この店長は更に工夫を続けます。
元気な朝を応援する!ってコーナーを創って、サラダだけじゃなく、ヨーグルトとか、豆乳ドリンクとか「自分の目線で選んだ」朝に良い商品のコーナーを創った。
これも、当たりました。

店長のおすすめ!なんて陳腐な表現はしません。
店長の○○と当店の女性スタッフが毎日、試しています!って書いちゃった。
自信を持って、お薦めできるモノしか、置いていません!って宣言しちゃった。
ウケてます。

女性スタッフ、アルバイトの女の子も仕事がどんどん楽しくなって来た。
積極的に、こんなのどうでしょう?って提案が出てくる様になった。
時給、700円くらいのバイトの少女が、売場のプロ、陳列プランナーになっちゃった。

その店長は言います。
毎日、お客さんを観察するのが楽しくって仕方がない。
お客さんに話を聞かないと、1日仕事が終わった気がしない・・・と。

ここにもキキダス・マーケティングの実践者がまた一人、誕生しました。

3.数千万円のマンションをあっという間に売り切った「超・集客」チラシとは?

「新聞の号外って、絶対もらっちゃいますよね。」
「そうそう、こっちから頂戴!って言っちゃうわよね。」

都心の一等地、○○に着工予定の高額マンションの集客(モデルルームにお客を呼んで、買って頂く)が、その時の私に与えられたテーマでした。
そこは、都内でも有数の「老舗」、昔からの伝統の土地。
まず、高層マンションなんかは似合わない。
販売会社のスタッフもそんな場所で、高額マンションなんか売ったことが無い。
何より、近隣のマンションの相場より一戸あたり平均、1000万円以上高い価格設定がされてる。
駅広告もやらなきゃね!チラシをどの範囲に撒こうか?パンフレットはどうするの?
私達、プロジェクトチームのメンバーは、毎日、スカスカの噛み合わない「八方ふさがり」な議論を続ける日々でした。

ある時、思い立って、近所のマンションに既に入居しているお客さんにキキダス・マーケティングを実践してみました。

何故、このマンションを選んだんですか?
この街のどこがお気に入りですか?
このマンションを最初に知ったキッカケはなんでしたか?

どんどんどんどん、掘り下げて行きました。
そして、街でチラシを配ってたらどうしてます?って質問をした時の事。
突然、冒頭のセリフが飛び出したんです。
「ティッシュとか普通のチラシなら貰わないけど・・・・新聞の号外って絶対貰っちゃうよね・・・。」

新聞、新聞、新聞・・・。
私の頭の中にこのコトバがグルグル回り始めました。
頭のなかで、何かがパチンと弾けたんですね。

私はすぐにスタッフを集めて、その時、制作進行中だった「折り込みチラシ」と「パンフレット」の要素の中から面白そうなモノを見繕って、タブロイド型のA4サイズ8ページの新聞を創りました。
勿論、表面の一番目立つところに「号外!この○○にお住まいの方だけの耳よりニュース!」って書いて・・・。
それを近隣のお宅にポスティングし、また街頭でも手配りをさせました。

結果は「大成功!」。
一戸平均8000万円、全部で約20戸の高額マンションが一週間ほどで完売しました。
勿論、一般の折り込みチラシもやりましたし、駅広告も多少ですがやりました。
決して、号外型チラシだけの威力だとは言えないかもしれません。
でも、実際に購入してくれた人の大半は、号外からこの物件を知った人達でした。

この号外にはちょっとした「仕掛け」を施してありました。
これもキキダス・マーケティングでインタビューした人のおっしゃったフレーズから発想したモノです。
こういう場所は「地元意識って強いのよ!」
「長老って言うか、顔役みたいな人の話って結構聞くし・・・」
「クチコミって言うか、仲間同士で話題に出したり・・・」
こういうお話をヒントに、次号を読みたい、興味のある方に対しては「ホームページのURL」を載せておいたんです。

そしてそのホームページには、地元で以前からご商売をやってるお店の方にお願いして出演して頂きました。
それは、大変な出演交渉でした。
まさに、命がけの交渉!ってヤツでした。
この時の顛末だけで、一冊の本が書けるくらい・・・・・。
そうして、5人の地元商店のオーナーが出演を承諾してくださいました。

ホームページの中で、ある、焼き肉屋さんの女性オーナーはこう、語っています。
「最初はマンションなんて!って思ったわよ。でも、スタッフの方の話をじっくり聞くと、熱意があるし、結構良くできたマンションだし、これなら決して高くは無いって思うのよね。
何より「地元の方達に重点的に住んで欲しい!」っておっしゃるし・・・。
その気持ちが嬉しかったの・・・・・・。」
そんな内容でホームページは出来ていました。

どんなメディアが効くのか?その事に正解はありません。
まさに、神のみぞ知る・・・でしょう。
でも、あの時私がインタビューした女性が語ってくれた「あの」フレーズが、マンションに興味を持って貰う重要な「入り口」の役目を果たしてくれたことだけは間違いない事だと思います。

キキダス・マーケティングは何千万のマンションまで、売ってしまったんです。

4.普通のおむすび屋さんが、行列店に大変身!キキダス流店頭メディアミックスとは?

「どんなに美味しいおむすびも、持ち帰ると美味しくなくなっちゃうじゃないですか?だからどこも同じかと思って・・・・。」

ある日、持ち帰りのおむすびをテーマにキキダス・マーケティングを実践していたときの事、ある女性が冒頭の言葉を語りました。
それまで、そのおむすび屋さんは、そこそこ美味しくって、決してうまく行っていない訳ではないんだけど、今ひとつブレーク出来ない・・・そんな、いささか中途半端なポジションにありました。

私のテーマは、その店のリニューアルを成功させる事、売れる店にする事でした。
そしてキキダス・マーケティングを実践した訳です。
それまでも「美味しい米を使っています!」「具材には徹底的にこだわりました!」「海苔、塩厳選使用!」ってクオリティの高さを訴求するPOPとかポスターは使って居たんです。
でも、どうしてもパッとしない。
そりゃ、そうです。こんな事、実はどこの店もやってるんですよね。
どこの店も同じ様な言い方・・・正直、全然新しくない・・・・。
で、考えました。

持ち帰ってもうまい!持ち帰って貰う事を前提のアプローチをしてみよう!って。
そして、こんな↓キャッチフレーズを創りました。
そして、ポスターにして、お店の壁と、通路に貼りました。

当店のおむすびは冷めてもしっかりうまい。
本当は、この場で召し上がって欲しいんです。
でも当店はお持ち帰り専門の店。
だからこそ、時間が経ってもできるだけ味が変わらないこと。
その事がなによりも重要だと考え、その為の素材を選び抜きました。
冷めてもなお力強いこの米!
おむすびの為の自然の焼き塩!
ミネラルたっぷりで劣化しにくい有明の塩!

このポスターは長い長い行列を生みました。
価格は以前より高くしたにもかかわらず・・・です。
そして、行列で並んで頂いている間に、このキャッチフレーズが書かれたポスターをしっかり読んでくれた方は異口同音にこうおっしゃいます。
冷めてもおいしいんなら、明日の朝の分もいただいていこうかしら・・・。
購入点数も1.5倍近くに伸びました。

キキダス・マーケティングにはお客の行動すら変えてしまうパワーがある。

このプロジェクトは、私にそれを確信させてくれました。

5.ある「奥様」が教えてくれた「高いビール」の売り方・・とは?

とある食品スーパーのビール売場での出来事。

何故?その銘柄を選んだんですか?と尋ねた私に、その奥さんはこう答えました。
「主人の収入が減ってるじゃないですか~、だからどうしてもね、給料日の前は、特に安い発泡酒を買っちゃうんですよ。
正直言って、発泡酒って、ビールと比べれば美味しくはないですけど・・・・でも最初の一口を我慢すればなんとか飲めちゃうし。」

これ、私には大ショックでした。
なんか、すご~く悲しくなった。
発泡酒、我慢して飲んでるんだ・・・・。
本当はビールの方が好きなのに、ビールを飲みたいのはやまやまなのに「我慢して」発泡酒飲んでるんだ・・・。
「我慢して飲まれてる発泡酒」も不幸。
奥さん達だって、本当はご主人に感謝してるのに、でも生活が苦しくなっていく将来への不安から、やむなく「安い発泡酒」を買っている・・・。
これって、奥さんも不幸だし、ご主人ももっと不幸。
何となく、食卓が楽しくないだろうな・・・って気がした。

発泡酒って、「我慢して飲まれる」ために生まれて来た商品じゃ無いはずですよね?
じゃ、だったら、どう表現してあげればいいんだろう?
この奥さんの気持ちをどう表現してあげれば、みんながハッピーになれるんだろう?って考えました。
まさか「給料日前は、安い発泡酒で我慢!」なんてネガティヴな表現は出来ないし・・・・。
考えて、考えて、考え抜いて、こういうコピーが生まれてきました。

給料日後の一週間は、美味しいビールをご主人と!
この切り口でビール売場でキャンペーンをやりました。
手作りのボードを売場にド~~ンと貼って、おいしいビールのいくつかを選んで、お店のお薦めPOPを貼って・・・。
で、何が起きたか・・・・・。

凄く売れました・・・・なんと「ビール」の方が・・・。
しかも、高い方のビールからどんどん売れて行った・・・。
奥様達も本当は美味しいビールをご主人に飲ませたい、でもそのためには。なんらかの「言い訳」が必要。
店の方だって、本当はビールが売れて欲しい・・・・、でも安売り合戦から抜け出せない。
だから、安い発泡酒を中心に売場づくりをしちゃう。

でもこのキャンペーンで、お店も、お客さんも、多分メーカーも・・・・みんなハッピーになれた。

これが、この感じがキキダス・マーケティングの神髄なんですね。

6.「一風変わった人材派遣会社」の危機を救った「男達の本音」とは?

そのビルから出てくる人の殆どが、手にした会社案内を、次々にゴミ箱に放り捨てて行きました。
ビルの前の路上にも、沢山の会社案内が捨てられ、風に晒されていました。
それは、実に荒涼とした風景でした。

その会社は、いわゆる「日雇いの荷役労働者」つまり、工事現場などの労働力を提供する会社では業界のトップクラスでした。
どんなビジネスかと言うと、日雇い労働を探している人達を面接して雇う。
そして、色々な現場に出向いてもらい、そこで働いていただき、日当を現金でお支払いする、そんな仕事です。
毎日、もの凄い数の「労働力提供」の依頼が来て、もの凄い数の労働力をあちこちの現場に提供していました。
まさに、「毎日が自転車操業」です。

で、何が大事かと言えば「コンスタントで、質の良い労働力」の提供にある訳です。
良い人材が、安定的に来てくれる事がベストなんですね。
労働力の提供が途切れたり、質の低下があると、クライアントからの信用も失ってしまうし、取り引きも停止されてしまう。
結構、綱渡り・・・・なんですよ。
つまり、日雇い労働力の確保の為には、どれだけ沢山の人を募集し、その中から良い人材を見つけるか?が勝負になる訳です。

で、この会社、だんだんだんだん、人が集まらなくなって来た。
だって、殆ど、労働賃金の勝負なんですから、他社よりも一円でも高くしないと駄目だ!って思ってる。
コストばっかりかさみ、利益がどんどん減って行くだけです。

で、これはマズイ!って事になって、良い人材を集める為に何かしなきゃ!って事になって、何をやったか?って言うと、凄いお金をかけて「会社案内」を作り直した。
それが、冒頭の「ゴミ箱ポイ捨て事件」に繋がる訳です。
役員会とかで、決議して莫大な金額を投じて、毎日道に捨てられる高価な「ゴミ」を生産しちゃった訳。

こう言っちゃなんですが、相手は、日雇い労働者の方々。
その会社の立派さをいくら説いても、全然興味ない、全く無関心。
必要なのは「どこで」「いつ」「何をやって」「幾ら貰えるか?」・・・・それだけ。
そう、それだけで「仕事」を選んでるんですね。
立派な会社の封筒に入れられた「会社案内」なんて貰っても、邪魔なだけ・・・なんです。

で、人が集まらない!定着しない・・って言うんで、「マズイ!」って思った担当役員の方のルートで私のところに相談が来ました。
早速、キキダス・マーケティングを実施しました・・・・ビルから出てくる方々に対して。
で、分かった事。

彼らの興味の対象が「競馬(ギャンブル)」「お酒」「女」に集中している事。
鞄や手提げなんて持って歩かない事。
堅苦しい文章なんて、殆ど読まない事。
当然と言えば当然ですが、こんな事がハッキリ見えて来た。

で、私達は何をしたか・・・。
ポケットにすっぽり収まる、競馬情報手帳を作りました。
過去の競馬レースの成績一覧・・・・勝ち馬の名前・・・・血統・・・。
要するに競馬新聞の手帳版ですね。

そして、中を開くと「ちょっとエッチなコスチュームの女性」が、肩こりのほぐし方・・・とか、眼の疲れの取り方とか、二日酔いになりにくいお酒の飲み方・・・・なんかを教えてくれている。
勿論、仕事用のカレンダーとか、会社からの注意事項、連絡先(お仕事欲しい時は、ココに電話してください!ってやつ)もしっかり載せました。

あっという間に、人が集まりましたね。
仕事の内容についての問い合わせとか、仕事を紹介してくれ・・って言う電話もガンガン来るようになりました。
何より、驚いたのは、その手帳の事をクチコミで仲間から聞いて来社する人がどんどん増えて来た事。
手帳が欲しいから、面接に来ちゃう。
そして、仕事決めて帰っちゃう。
つまり、募集広告にかけていたコストが大幅に削減されたんです。

結果として、この会社の業績は大幅に回復しました。
それまでは、人を、いい人材を沢山集めたいから「会社案内」を格好良くしなきゃ!って、社長以下、全役員がそれを「常識」って思ってた。
たった数人の「日雇いの方の本音」がこの会社にかかっていた「常識」を壊したんですね。
そして大成功に導いた。
キキダス・マーケティングがひとつの会社の命運まで決めてしまったんです。

7.ある、女性の一言が、自動車ショールームの「生き方」を変えてしまった・・・。

「なんか、感じ悪くないですか・・・、あの奥に居る人達って・・・・。」

その女性が、指さした先には、その「クルマのモデルルームの事務スタッフ達が仕事をしているオフィス」が見えていました。
そして、そのスタッフ達は、接客をする訳ではなく、お客さまがショールームに入って来られても、ろくに挨拶をしません。
仮にしたとしても、お客の方も見ないで、おざなりに「いらっしゃいませ~~」って言うだけ。
これまで、そのショールームは「週末の集客」を目論んで、沢山の集客企画を実施して来ました。
ファミリーを集客する為の、子供向けイベント企画や、風船、玩具なんかのオマケ企画も相当やりました。
DMなんて、一体何通くらい出したんだろうか・・。
集客チラシなんて、幾ら使って、どのくらい撒いたんだろう?ってくらい・・・。
そして、幾ら、ドブに捨てたんだろうか?
でも、うまく行かない・・・。
なかなか、成約にまで行かない・・・。

で、店長が本部に直訴した。
そして、キキダス・マーケティングの出番・・になった訳です。
私が、組織した「お客のふりをした人達」が実際にお店に行って、感じたまんまをレポートする!って言うやり方です。
勿論、店のスタッフには内緒。
いつ行くかも知らせてない。
本当の「抜き打ち!」です。

それまで、この店のスタッフとか、店長は、店の不振の原因は、「営業マンの力不足」にあると考えていたんですね。
つまり、成約率が低いんだ、決定力が弱いんだ!って。
あるいは、キャンペーンの集客企画が悪いんじゃないか?って思ってた。
で、キキダス・マーケティングを使って、営業のスキルのチェックとか、企画の良し悪しの評価をしてくれ!と言うのが本来の活動趣旨でした。

でも違ったんです。
そんな、企画以前の、入って来た瞬間の対応とか「挨拶」の仕方が、お客さまの気持ちを萎えさせたり、削いでいた。
でも、内部の人はそんな事、一切気がついていなかった・・・。
そりゃ、そうです。
ず~~っと、それでやって来たから・・・、気づかないし、感じてもいない。
お客さんは、そんな事、教えてくれません。

なんか、ついたての後ろに居る人達の感じが悪いわよ!なんて事は絶対に言わない・・・。
お客が入ってきても、知らんぷりしてるわよ!なんて教えてくれない。
客に関係ない話ばっかりしてるわよ・・って教えてくれない。
そして、黙って、静かに去って行くんです。

で、このショールームは、その後、大幅なレイアウト変更をしました。
接客する場所からは「事務スタッフ」が全然見えなくした。
そりゃ、集客企画も当然、多少は変えたりしました。
でも、そんな大きな変更はしていない。
で、成約率がグングン上がって行きました。

もともと、やってることは悪くないんですよ。
それ以前の問題だったんですね。
今、その店は、その会社の営業所の中でも、「有数」の優良店舗になっています。

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